良質な植物オイルを摂取したりスキンケアに使用することは、年齢を重ねるほど健康や肌の状態を良好に保つために重要です。植物オイルとはなにか、そして高温で圧搾で精製され、大量に安価で販売されている長期保存が可能な植物オイルと、健康や美容に使用したい低温でじっくりと圧搾される常温搾り植物オイルとの違いを考えます。
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植物オイルとは
植物オイルとは、種子、果実などからえられるオイルで、その歴史は古く、数千年前から利用されています。
またこの植物オイルは食物だけでなく、経験上、様々な症状に使われてきており、現在では科学的に確かめられています。
植物オイルの魅力
植物オイルを採取する種子には、命が育つためのあらゆるものが含まれます。
この植物のオイルと脂(*)は、植物が生きていくために必要な様々な働きからえられた産物です。
植物はこのオイルの中に光合成で生成したエネルギーを蓄えます。
植物オイルはこのエネルギーを蓄え、それを私達が利用することができます。
(*) 植物オイルと植物脂があり、室温(24度以下)で液状のものはオイル、24度で固まるとそれは脂という。
スーパーで売られている食用オイルとは――製造方法の違い
通常のスーパーなどで大量に売られている食用オイルは、その名の通り食用として利用されるものです。
市販の食用オイルの製造方法は、収量(採取できる量)を増やすために、植物の種子や果実を高温で圧搾する高温搾りが主流となっています。
高温搾り(こうおんしぼり)とは、種や果実からオイルを取るときに、高い温度をかけてしぼる方法です。
これにより、オイルがたくさん取れやすくなりますが、熱によってオイルの風味や栄養が少し変わったり減ったりすることがあります。
種や果実に高熱を加えると、オイルの中に体に良くない成分ができることがあります。
できたオイルを体に安全なものにするために、精製という作業が必要です。
この精製という工程を経ることで、高温加熱可能で、長く保存可能で、そしてずっと安く購入することができる、という利点があります。
高温搾りの欠点とは
この高温搾りをおこなうことによる利点とともに、欠点もあります。
それは、高温搾りによって植物オイル本来がもつ、ビタミン、レシチン、芳香物質などが失われることです。
このようなオイルは、スキンケアや食品に使うのが心配になるデメリットがあります。
精製するたびに、体に良い成分が取り除かれるだけでなく、健康に良い物質が体に悪い物質に変わることがあります。
たとえば、天然の不飽和脂肪酸(シス型)が、体に悪いトランス脂肪酸(*)に変わってしまうことがあるのです。
(*)トランス脂肪酸は、食品の中に含まれる種類の脂肪の一つです。自然にも少しは含まれていますが、特に加工食品や揚げ物、マーガリンなどに多く含まれています。トランス脂肪酸は、食べ過ぎると体に悪い影響を与えることがわかっています。
トランス脂肪酸が体に与える悪影響
心臓病のリスクを高める
トランス脂肪酸をたくさん摂ると、心臓に悪い影響を与える可能性があります。体に必要な「善玉コレステロール」(HDL)が減って、「悪玉コレステロール」(LDL)が増えるからです。これが続くと、血管が狭くなったり、詰まったりして、心臓に負担がかかることがあります。
肥満や生活習慣病の原因になる
トランス脂肪酸が多く含まれている食べ物は、揚げ物やスナック菓子、ファストフードなど、カロリーが高いものが多いです。これらをたくさん食べると、太りやすくなり、肥満や糖尿病といった病気になるリスクが高まります。
体に炎症を引き起こす
トランス脂肪酸を多く摂ると、体の中で炎症が起きやすくなります。炎症が続くと、病気にかかりやすくなったり、体の調子が悪くなることがあります。
年齢を重ねるほど、どんなオイルをとるかが健康と美容の鍵となる
スキンケアや、健康のことを考えて摂取したい植物オイルは、常温搾りで得られるものです。
この常温搾りでは、高温搾りと違って、オイルの中にビタミン、レシチン、芳香物質その他の貴重な含有物質が保持され、天然の不飽和脂肪酸(シス型)は変化しません。
これらのオイルには、特有の味とかおりと色があります。
常温搾りには圧搾過程でさまざまな工程を経て、製造されるため、量もすくなく、大量生産ではないため、価格も高くなります。
しかし、このような植物オイルはじつは、若いとき以上に年齢を重ねた中高年の健康に大きな影響を与えています。
植物オイルに含まれる脂肪酸によってその作用や働きが異なり、これが私達の健康と美容に大きな影響をあたえます。
つぎの記事では、この脂肪酸の重要なポイントと、働きを詳しく掘り下げていきます。
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- 参照文献
- ルート・フォン・ブラウンシュヴアイク著 手塚千史訳 「アロマテラピーのベースオイル あなたを磨き輝かす30種類」フレグランスジャーナル社
- 雑誌 セラピスト 2024年6月 Vol. 133 第 1 特集 不調を改善! 施術と食事に活きる正しい知識 セラピストはオイルをこう使う!
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