アロマテラピーの香りとタッチングが睡眠にどのような影響をあたえるか—論文のまとめ 2

アロマテラピーで香りを部屋に漂わせたり、アロマオイルを使ったタッチングを受けることで、不安が和らぎ、朝の目覚めが良くなることがわかっています。特に、不安を感じやすい人や、普段からよく眠れていないと感じている人ほど、アロマテラピーを受けた後にリラックスできるようになり、疲れが取れやすくなるという結果が出ています。また男女では異なる結果が得られました。

目次

ストレスを和らげるアロマテラピー

アロマテラピーで使われるエッセンシャルオイルは、植物の香り成分を凝縮したオイルです。オイルにはさまざまな成分が含まれており、その香りは多彩で複雑です。

アロマトリートメントでは、香りに加えて体へのマッサージも行われ、自律神経を整えたり、血行を促進したり、不安を和らげたりする効果があります。

タッチングとは

タッチングは、肌と肌が触れ合うことを意味します。赤ちゃんのころには、肌の触れ合い(スキンシップ)がとても大切で、心に大きな影響を与えます。触れ合うことで安心感や癒しを感じ、それが愛情を育むのです。

前回のブログではタッチングを取り入れておらず、香りだけの睡眠への影響を考察していましたが、今回紹介する研究では、香りとともに、タッチング(撫でさすり) を加えることでどのような結果が得られるかを考察しています。

先の研究では、タッチングが自律神経系に働きかけることや不安レベルの改善が報告されています。

大人にもタッチングが必要な理由

日本人は、日常的に家族とハグをしたり手をつないだりすることが少ないと言われています。「恥ずかしい」「今さら」といった気持ちや、周りの目を気にしてしまうからです。

でも、タッチングは大人にとっても健康や心に良い影響を与えることがわかっています。重要なのは、お互いに触れ合うこと。この相互の関係が、幸福感や信頼感をもたらします。

睡眠の質や不安感に対処するためのアロマトリートメント

この実験では、ベルガモット精油を1%の濃度でマカデミアナッツオイルに混ぜ、マッサージを行われました。また、ベルガモットオイルを含ませたシートを就寝時に枕元に置くことで、香りの効果も調べたことも報告されています。

実験結果

実験の結果、マッサージ前後で全体的な疲労感やストレス、緊張感が減り、眠気やリラックス感、爽快感、やる気が高まりました。さらに、男性と女性で結果に違いが見られました。

特に、不安を感じやすい人や不眠に悩んでいる人は、アロマトリートメントを受けると、交感神経の活動がより低下することがわかりました。

また、トリートメントを加えることにより、肉体的、精神的な疲労感、自覚できる範囲のストレス、緊張感などの低下もみられたとの結果が示されています。

まとめ

前回のブログでは、香りのみを使って(ベルガモット精油) 睡眠に与える影響について紹介しましたが、今回はタッチングを加えた場合についても考察されています。タッチングを加えることで、香りの効果だけでなく、肌に直接働きかけて、心理的な苦痛が和らぎます。

その結果、気分が良くなり、やる気や爽快感が得られました。このように、不安や気分の落ち込みに伴って起こりやすい睡眠障害を軽減するのに役立つと考えられます。

この研究では、男性と女性を対象にしました。男性は、香りに加えてタッチングを受けると交感神経が活発になり、リフレッシュしたり目が覚めたりする効果が強まることがわかりました。

一方、女性はタッチングにより副交感神経が働き、リラックス感や緊張が和らぐ傾向があることが示されました。

ただし、これらの違いが性別によるものなのか、それとも不安の感じ方の違いによるものなのかを明らかにするためには、性別ごとにもっと多くの人を調べたり、さまざまな項目を測定したりする必要があります。

睡眠不足は私たちの生活に深刻な影響を及ぼします。慢性化すると、たとえば、認知能力(記憶やスケジュールを管理するような能力)が低下し、気持ちも不安になり、ますます、眠れなくなるという悪循環に陥ります。

重症化するまえに、より気軽、安全に試せる方法として、香りやタッチングがある、ということをぜひ、憶えておいていただきたいと思います。

  • 参照文献
  • 武田ひとみ アロマテラピーと嗅覚刺激と触刺激が睡眠の質に及ぼす影響 アロマテラピー学雑誌 Vol. 17, No. 1. 2016
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