更年期の不調が軽症な人と、症状が重くなる人がいます。Part 1ではエクオール産生腸内細菌を取り上げました。今回は更年期に関わる女性ホルモンを掘り下げ、アロマセラピーでできることを考えてみたいと思います。クラリセージ、サイプレス、真正ラベンダーなどを紹介しています。

女性ホルモンと更年期障害
Part 1 では女性ホルモンと更年期について簡単に説明しましたが、この記事ではもう少し深掘りしていきます。
女性ホルモンには、卵胞から分泌される卵胞ホルモン(エストロゲン)と、黄体から分泌される黄体ホルモン(プロゲステロン)があります。卵胞ホルモンは女性の第二次性徴をうながします。一方黄体ホルモンは妊娠の成立と維持に不可欠なホルモンで、基礎体温を上昇させます。この二つを総称して女性ホルモンとよびます。
では、更年期障害とはどのような原因でおこるのでしょうか
更年期(44才から55才くらい)は、卵巣の働きが衰えはじめ閉経を迎える時期です。卵巣の働きが衰えると、卵胞ホルモン(エストロゲン)の分泌が減少します。
ところが、自律神経の最高中枢である視床下部からの指示を受ける下垂体前葉での性腺刺激ホルモンの分泌は過剰になっていきます。一方卵巣は衰えていくため、卵胞ホルモンの分泌が減少、いままでの絶妙なバランスが崩れてしまうということです。
簡単にいうと、エストロゲンの分泌量が低下するにもかかわらず、下垂体ががんばってエストロゲンを分泌しようとするため、自律神経がみだれてからだの調節がうまくいかなくなります。
更年期障害の症状の一例
血管運動神経障害 | のぼせ、顔面紅潮、発汗、動悸、冷え性など |
精神神経障害 | 頭重感、頭痛、耳鳴り、不安感、不眠、イライラ、めまい、 記憶力減退、ゆううつ |
身体症状 | しびれ、肩こり、腰痛、便秘、吐き気、疲れやすい、全身倦怠、脂質異常(コレステロールの異常)など |
更年期の不調は周りにはわかりにくい
更年期の不調は、まわりからはわかりにくいものです。私自身もホットフラッシュやめまいなどが突然起こったとき、どうしていいかわからず、顔を冷やす、めまいならしばらくじっとしている、などでしのいでいました。数分で終わる場合も多く、なんとなく不快だけど婦人科へいくまでもないな、と思っていました。ただ、呼吸が浅い、動悸がするなどの症状が出たときは、内科にいって受診しました。そのときは過呼吸気味であることが指摘されました。
更年期をすこしでも前向きに過ごしたい
更年期はちょうど人生の折り返し地点にあたります。私自身、子供たちの独立、夫の親や自分の親の介護、看取り、相続処理などなど、50才代は一気に様々なことが押し寄せました。
私はからだを動かすことで、気分をリフレッシュしてきました。しかし、アロマセラピーには香りを嗅ぐことやアロマトリートメントをおこなうことで、更年期の症状を改善することも報告されています。
研究報告
2012年に発表されたイランの研究グループでは、更年期障害の治療のために婦人科の更年期クリニックに通っている90人に対して実験をおこなっています。
(使用した精油 真正ラベンダー、ローズゼラニウム、ローズ、ローズマリー)
結果として、精油入りトリートメントをおこなったグループで更年期の症状を緩和することが示されました(比較:トリートメントなし、トリートメントあり、精油ありトリートメント、香りなしのトリートメント)
また、2017年に発表された研究では、40代女性にゼラニウム精油を毎日1-2回嗅いでもらったところ、この香りの吸入が不安の軽減、怒り、敵意の改善がみられたことが報告されています。
おすすめの精油一覧
精油 | おすすめする理由 |
クラリセージ | 成分のスクラレオールという物質は構造式が女性ホルモンのエストロゲンに似ていることからエストロゲンのような働きがあると考えられているため。しかし、香りを嗅ぐだけでも改善の効果があるという研究が報告されている。 |
サイプレス | 成分のマノオールにエストロゲンに似た作用がある。 |
ニアウリ | シネオールタイプでは、成分のビリジフロロールにエストロゲンに似た作用がある。 |
真正ラベンダー | 用途は多様で、万能。ほかの精油とブレンドするとよい |
スイートオレンジ | 人気があり親しみがある香り。とくにホルモンに似た働きをする成分はないが、明るい気分にする。パニックにスイートオレンジが使われた臨床例も多い。 |
目で見るからだのメカニズム 堺 章 医学書院
「植物の香り」のサイエンス なぜ心と体が整うのか 塩田清二、竹ノ谷文子共著 NHK出版新書
まとめ
更年期のすごし方について、Part 1 ではエクオール産生腸内細菌を、Part 2 ではアロマセラピーを使って、少しでもつらい症状を緩和できる方法を探ってみました。どちらも女性ホルモン(エストロゲン)の役割に近い働きをするといわれているものです。ただ、症状が重篤な場合はためらわず婦人科を受診し、適切な治療をうけることをおすすめします。ホルモン補充療法やその他様々な方法を試すことで、自分の体をきちんと管理する意識を高めることになります。
今回紹介した精油はエストロゲンに似た作用をもつことから、ホルモン依存型がん疾患や乳腺症の人、妊娠中の人は避けるほうがよいようです。
また、からだを動かすことも更年期を乗り切るためにとても有効です。ウォーキング、ランニング、ヨガや筋トレなどなんでもいいです。生活に香りと運動をぜひ取り入れてはいかがでしょうか。
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