似ているようで違う? より効果的に使いたい精油【ユーカリとペパーミント】

ユーカリ精油とペパーミント精油は、それぞれ異なる植物から抽出される精油であり、含まれる成分の違いがその香りの特性に影響を与えています。どちらもクールで爽快感のある香りが特徴的ですが、具体的な成分や香りのニュアンスが異なるため、アロマテラピーや調香などでも異なる効果を発揮します。

目次

ペパーミントに含まれるl-メントールの清涼感が不快になることがある?

ペパーミントの精油とユーカリの精油はどちらもスッキリとした、さわやかで、シャープな香りです。

しかし、このペパーミントに含まれるl-メントールには、不快な刺激があることがわかっています。

その不快な刺激とは、【灼熱感】というものだそうです。

私も、暑い日は 冷感を求めてl-メントールを含んだ商品を使用することも多いですが、使いすぎると、不快な感覚を覚えることがあります。

その不快感とは、なかなか表現しがたいのですが、冷えすぎると、なんとなく刺激が強くなる感じです。

そして、その不快な刺激を減らしてくれるのが、ユーカリの精油に含まれる、【ユーカリプトール】すなわち、 ユーカリの精油に代表される成分 【酸化物】、1.8シネオールという成分ということです。

以下、興味深い記事を見つけました。

清涼成分として代表的なℓ-メントールは、現在多くの清涼化粧品に配合されています。

ℓ-メントール以外にも様々な清涼成分が開発されていますが、より強い清涼感を実現するためには、ℓ-メントールは欠かせません。

しかし、このℓ-メントールは多量に配合すると灼熱感を引き起こし、不快感に繋がります。

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ℓ-メントールとユーカリプトールのバランスを調整することで、清涼感の強さだけでなく、刺激のコントロールが可能であると考えられ、生活者の清涼感に対するそれぞれウォンツに対し、より満足感の高い製品提案の可能性を見出しました。


引用元

(株)マンダム 【ユーカリ由来成分ユーカリプトールに】自然科学研究機構・岡崎統合バイオサイエンスセンターの富永真琴教授 との共同研究 2011年9月14日~17日に開催された「日本神経科学学会」、及び2011年12月 12 日~12月14日に開催された「第21回 国際化粧品技術者会(IFSCC)」において発表

それでは、それらの特徴的な成分を含む、ユーカリとペパーミントの精油についてチェックしたいと思います。

どちらも、私はよく使う精油です。鼻づまりや、ちょっとした不快な症状にはすぐにつかえます。

ユーカリ精油とペパーミント精油はどんな精油なの?

ユーカリ精油の特徴と種類

ユーカリの精油といってもたくさんの種類があります。

ユーカリは、フトモモ科で、「ユーカリプタス(Eucalyptus)」と呼ばれ、これは、ユーカリの木を指す英語名であり、学名です。

オーストラリアやタスマニア、ニュージーランド、インドネシアなどが原産地です。

ユーカリの木には、約600種類以上の異なる種が存在し、その多くが異なる成分や特性を持っています。

この植物は、成長が早く、さまざまな用途に利用されています。

ユーカリプタスの種類

代表的なユーカリプタスの種類

1. ユーカリ・グロブルス(Eucalyptus globulus):もっとも一般的なユーカリ種で、清涼感が強く、医療用にも使われます。

2. ユーカリ・ラディアタ(Eucalyptus radiata):柔らかく優しい香りで、アロマセラピーやスキンケア向け。

3. ユーカリ・レモン(Eucalyptus citriodora):レモンのような香りを持ち、防虫効果が期待できる種類です。

4. ユーカリ・スミシ (Eucalyptus smithii) : ユーカリ・スミシーは、穏やかな香りで比較的刺激が少なく、肌にも優しいとされています。

5. ユーカリ・ディべス (Eucalyptus dives) : すっきりとしたペパーミントに似た香り。脂肪溶解作用と粘液溶解作用があります。

ユーカリプタスのエッセンシャルオイル(精油)としての活用

ユーカリプタスの精油は、アロマテラピー、風邪のケア、筋肉痛の緩和、抗菌消臭スプレーなどに活用されています。

特に、清涼感のある香りはリフレッシュ効果も高く、メンタル面での集中力向上やリラックスにも寄与します。

また、呼吸器ケアとしても広く使用され、スチーム吸入などに使うと鼻づまりの解消にも効果があります。

これらの、おもに風邪の症状に対応できるための成分として、ユーカリプトスに含まれる成分

1,8-シネオール(別名ユーカリプトール)は、ユーカリ精油をはじめ、多くの精油に含まれる酸化物化合物で、特にその清涼感のある香りと呼吸器系への効果で知られています。医療・アロマテラピー・香料としても幅広く活用されています。

1,8-シネオールの主な特徴

  • 化学名:1,8-シネオール(C₁₀H₁₈O)
  • 香り:シャープでスッキリとした強い清涼感が特徴で、ミントやカンファーのような香りが感じられる
  • 揮発性:非常に揮発性が高いため、香りが広がりやすい
  • 存在する精油:ユーカリ精油(特にユーカリ・グロブルス)(*1)、ローズマリー、ティートリー、ローリエなど
    (*1) ユーカリ・シトリオドラ, ユーカリ・ディべスには酸化物は含まれません。

1,8-シネオールの効果・効能

1,8-シネオールは、いくつかの作用を持つ成分として知られており、特に以下のような効果が挙げられます。

1. 呼吸器系への作用

1,8-シネオールは去痰作用(たんを取り除く作用)や気管支拡張作用があるため、呼吸器系のケアに有効とされています。

鼻づまりや咳、喉の不快感の緩和に役立ち、アロマテラピーではスチーム吸入や加湿器などを用いた呼吸ケアに活用されることが多いです。

また、1,8-シネオールの吸入によって気道の炎症を抑える効果も報告されています。

2. 抗菌・抗ウイルス作用

1,8-シネオールには強力な抗菌・抗ウイルス作用があり、細菌やウイルスの活動を抑制する効果が期待されています。

このため、風邪やインフルエンザの予防、または軽減を目的とした消毒スプレーやマウスウォッシュの成分としても使用されています。

清涼感のある香りが清潔感をもたらし、空間の消臭や抗菌にも適しています。

3. 抗炎症作用

1,8-シネオールは炎症を抑える作用も持つため、筋肉痛や関節痛の緩和にも効果があるとされています。

抗炎症作用によって、筋肉疲労や関節の炎症を抑えるため、マッサージオイルやバスオイルに利用されることもあります。

ユーカリ精油を含むオイルを塗布すると、皮膚の冷却効果も得られるため、リフレッシュ目的にも使われます。

4. 精神的なリフレッシュと集中力向上

1,8-シネオールの清涼感のある香りは、リフレッシュ効果を持つため、疲労感や眠気を軽減し、気分をスッキリさせる効果があります。

シャープな香りは脳を刺激し、集中力を高めるため、勉強や仕事の合間にアロマディフューザーで使用することも効果的です。

1,8-シネオールの注意点

1,8-シネオールは、多くの健康効果が期待できる成分ですが、刺激が強いため使用量には注意が必要です。

特に高濃度での使用は皮膚や粘膜に刺激を与えることがあるため、敏感肌の人や小さな子どもには慎重に使用する必要があります。

また、妊娠中や授乳中の方も、医師に相談の上で使用することが望ましいです。

ペパーミント精油とは

ペパーミント精油は、爽快で清涼感のある香りが特徴的で、心身のリフレッシュやリラックス、消化促進など多様な用途に役立つ精油です。

ペパーミント(学名:Mentha piperita)の葉から抽出され、数多くの成分が含まれていますが、特にメントールメントンという成分が主な作用や香りに大きく関わっています。

ペパーミント精油の主成分とその特徴

1. l-メントール (Menthol)

  • 含有量:約30〜50%
  • 特徴:ペパーミントの清涼感を生み出す主成分であり、冷却作用や鎮痛作用を持っています。
  • メントールには冷感受容体(TRPM8)を刺激して冷却感を生じさせる働きがあるため、肌や喉の不快感の軽減に役立ちます。
  • 効果:鎮痛作用、抗炎症作用、かゆみの軽減、筋肉痛や関節痛の緩和。メンタル面ではリフレッシュ作用もあり、気分転換や集中力を高めるのに適しています。

2. メントン (Menthone)

  • 含有量:約15〜30%
  • 特徴:メントールに次ぐ含有量で、やや甘みと深みのある香りが特徴。ペパーミント精油の香りに厚みとバランスを与えます。
  • 効果:消化促進、抗菌作用。メントンは消化器系に働きかけるため、胃腸の調子を整える目的で使用されることが多いです。

3. 1,8-シネオール (1,8-Cineole)

  • 含有量:数%~10%前後
  • 特徴:ユーカリ精油にも含まれる成分で、シャープで清涼感のある香り。抗菌・抗ウイルス作用に優れているため、風邪予防や感染症対策にも効果的です。
  • 効果:抗菌・抗ウイルス作用、呼吸器のケア。鼻づまりを解消し、呼吸を楽にする効果があるため、スチーム吸入などで利用されることが多いです。

4. リモネン (Limonene)

  • 含有量:微量(約1〜2%)
  • 特徴:柑橘系の成分で、フレッシュさを加えます。
  • 効果:リフレッシュ効果や気分を高める効果があり、抗酸化作用もあります。消化器系のサポートにも役立ちます。

5. β-ピネン (β-Pinene)

  • 含有量:微量
  • 特徴:わずかにウッディな香りが感じられ、森のような清々しい香りのニュアンスを加えます。
  • 効果:抗炎症、鎮静作用。集中力を高め、リラックス効果も期待されます。

ペパーミント精油の香りの特徴

ペパーミント精油の香りは、メントールとメントンによる「冷涼感」「爽やかさ」が強調されています。

ユーカリやティートリー精油とブレンドするとさらに清涼感が強まりますが、甘さと苦味を感じさせる深みのある香りも含まれるため、バランスのとれた香りが楽しめます。

ペパーミント精油の主な効能

  1. リフレッシュ効果・集中力向上
    冷感作用により、気分をリフレッシュさせる効果があります。眠気を覚ましたり、気持ちを切り替えたいときにおすすめです。
  2. 鎮痛・鎮静作用
    頭痛、筋肉痛、肩こり、関節痛などに対して緩和効果があるため、湿布やマッサージオイルとしても用いられます。冷却効果があるため、炎症のある部分に清涼感を与え、痛みや不快感を和らげることができます。
  3. 消化促進・胃腸の調整
    メントンやリモネンが消化をサポートし、胃腸の働きを整えるのに役立ちます。食欲不振や消化不良、吐き気がある場合などにも使用され、ハーブティーとしてもペパーミントはよく飲まれます。
  4. 呼吸器系のケア
    抗菌・抗ウイルス作用があり、鼻づまりや喉の不快感を軽減するのに役立ちます。風邪のシーズンにはスチーム吸入やディフューザーでの使用が効果的です。

使用時の注意点

ペパーミント精油は刺激が強いため、特に敏感肌の方や子どもへの使用には注意が必要です。皮膚への直接塗布には、必ずキャリアオイルで薄めて使用してください。また、ペパーミント精油の強い冷却効果は、目や粘膜に刺激を与えることがあるため、目の周りや粘膜に直接触れないよう注意しましょう。

まとめ

ユーカリの精油とペパーミントの精油はどちらも、さわやかで、日常的に使いたい精油です。

ユーカリは、主にのどや鼻づまりに適した成分を含んでいることがわかります。

一方、ペパーミントは、たとえば食品に使われたりするので、親しみやすく、気分転換など普段の生活のアクセントとして使いたい精油です。

また、両方とも、使いすぎると刺激が強くなり、上記の研究結果のようにペパーミントは不快な刺激も感じるようです。

ただ、植物から抽出されたオイルである精油は大変複雑な構造と、成分を含んでいるため、単一の成分だけを取り出して商品化されたものとは区別して考えなければならないでしょう。

精油を使って、より相乗効果を得るなら、たとえばユーカリの精油とペパーミントの精油をブレンドしてもよいです。

その割合は、自分の好みでどのようにでもなります。

このように精油は大変大きな可能性をもっています。

ぜひ、精油を使いこなして、日々の生活に香りと生活のアクセントを取り入れましょう。

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  • 参照文献
    (株)マンダム 【ユーカリ由来成分ユーカリプトールに】自然科学研究機構・岡崎統合バイオサイエンスセンターの富永真琴教授 との共同研究
  • ピエール・フランコム著 下山大助/中村弘美訳 濱田祥子/池村国弘/谷田貝光克監修 フランスアロマテラピーがよくわかる 薬用エッセンシャルオイルの科学 フレグランスジャーナル社
  • バーグ文子著 アロマティック・アルケミー エッセンシャルオイルのブレンド教本


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