いま、環境汚染物質を除去する樹木精油が注目を集めています。なかでもトドマツの精油は二酸化窒素をきわめて効果的に除去することがわかってきました。二酸化窒素はせき・たんを増加させ、呼吸器の疾患を悪化させます。また花粉症との関連もわかってきました。室内や車の中で森林の香りと空気浄化ができます。
トドマツの精油プロフィール
学名:Abies sachalinensis
科名:マツ科
抽出部位:枝葉
抽出方法:水蒸気蒸留法
ノート:ミドルノート
精油の主な成分:酢酸ボルニル、カンフェン、α-ピネン、リモネン、β-ピネン など
産地:北海道
トドマツの精油の香りの特徴
トドマツはモミ属に属し、北海道やサハリンなどで生育する植物です。
その精油には、カンファー調やさわやかな針葉樹の香り、シトラス調が含まれ、深い森の神秘的な感覚をもたらします。
特に酢酸ボルニルが安眠効果を与えるとされています。
トドマツ精油は、豊かな香りでリラックスや安らぎを提供し、忙しい日常で心を落ち着かせます。
二酸化窒素とはなにか
呼吸して生きている限り、どのような空気を吸っているかは健康に直結する問題です。
二酸化窒素は、工場や車の排ガスが空気中で変化してできるもので、自然に発生することもあります。
いつも私たちの周りに少しずつ存在しています。
この二酸化窒素は、せきやたんが増える原因になり、たくさん吸い込むと急に呼吸の病気を引き起こすことがあります。
最近では、花粉症の症状にも関係していることがわかってきました。
つまり、二酸化窒素を減らすことで、花粉症が軽くなる可能性があるということです。
樹木精油の浄化能のその理由
空気をきれいにする方法として、トドマツ以外の樹木の香り(精油)を空気中に広げることが期待されています。
精油の中には、アンモニアのような悪いにおいを消す効果が高いヒノキの葉から取れる油や、環境汚染物質であるホルムアルデヒドを除去するスギの葉から取れる油などがあります。
その中でも、特に二酸化窒素をとても効果的に取り除くことができるトドマツの葉から取れる油が発見されています。
トドマツ葉油に含まれる成分として、ミルセン、フェランドレン、テルピネンなどが二酸化窒素を無害化する働きを持っていることがわかっています。また、この仕組みでは、空気中に微粒子が作られ、その粒子が二酸化窒素を取り除くことがわかっています。
花粉症は、二酸化窒素があることで悪化することもあるので、二酸化窒素を減らすことが花粉症を和らげる助けになるかもしれません。
花粉症が二酸化窒素の存在で悪化する原因
二酸化窒素(NO₂)と花粉症には、密接な関係があります。
二酸化窒素は自動車の排気ガスや工場の排出物に含まれる大気汚染物質で、空気を汚染することや、花粉症を悪化させる原因の一つとも言われています。
アレルゲン感受性の増加
二酸化窒素は、鼻や喉などの呼吸器に炎症を起こすことがあります。これが原因で、花粉などに対する体の反応が強くなることがあります。気道が二酸化窒素で敏感になると、少しの花粉でも強い症状が出やすくなるのです。
花粉自体への影響
二酸化窒素などの大気汚染物質は、花粉の表面にくっついて化学的に変化させることがあります。
その結果、花粉のアレルギーを引き起こす成分(アレルゲン)がさらに強くなり、花粉症の症状が悪化する原因になることがあります。
呼吸器への負担の増加
特に都会では、二酸化窒素(NO₂)の量が多く、花粉症の人がより重い症状に苦しむことがよく報告されています。
花粉症以外にも、喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの呼吸器疾患を悪化させる要因です。
これにより、花粉症の症状も一層つらくなることが考えられます。
免疫系への影響
二酸化窒素(NO₂)は体の免疫にも影響を与え、アレルギー反応を引き起こすIgE抗体を増やすことがあります。これによって、花粉症や他のアレルギー反応が強くなる可能性があります。
また、二酸化窒素は呼吸器に炎症を起こし、アレルギーを起こしやすくしたり、花粉をより強いアレルゲンに変えることで、花粉症の症状を悪化させます。
特に都会では、車の排ガスや工場からの排出によって二酸化窒素の量が多いため、花粉症の人にとってよりつらい環境になりがちです。
そのため、大気汚染を減らすことや花粉症の対策がとても大切です。
トドマツの精油を使った車用芳香剤の開発
エステーと自動車メーカースズキと車用の消臭芳香剤を開発したと発表しました。
https://car.watch.impress.co.jp/docs/news/1630951.html
車酔いの原因は様々です。たとえば、車の揺れによる三半規管への刺激、自律神経系に与える影響やストレス、車内の匂いなどがあります。
車の構造上、揺れを無くすことは難しいですが、車内の匂いというのも調査の結果車酔いの大きな原因になっていることがわかってきました。
エステーの社長である、奥平氏は、
森の空気がきれいな理由を探るため、日本中の森の空気を2年かけて調査し、最もきれいな空気が北海道阿寒湖周辺の森にあることを発見しました。特にトドマツが空気浄化に大きく寄与していることがわかり、その香りを車内用に開発しました。70種類以上の香りを車内で試した結果、屋外の香りと車内の香りが異なることを発見し、最終的に北海道トドマツの香りが最も快適と評価されました。
このように、述べられています。
まとめ
日本は森林が国土の70%近くを占める、森林大国です。
しかし、安い外国産の木材の流入により、国内の木材がその価格競争に負けて、国産材を使わなくなってしまいました。
その結果、森林の伐採が減り、(林業がもうからない) 手入れがされない森林が多くなっています。
精油とは大量の植物の枝葉、木材、花などをつかって、そのエッセンスを利用するものです。
トドマツも、たくさんの枝葉から精油を抽出することができます。
木材としてだけでなく、枝葉も利用できることから、このような私達の空気を清浄してくれる成分を含む、自然の贈り物である精油をぜひ、活用したいですね。
空気清浄の目的なら、やはりディフューザーで香りを拡散させたり、無水エタノールと精製水とともにルームスプレーをつくって、拡散する方法か効果的ですね。
花粉症の季節の前にはぜひ、活用しましょう。
実際にトドマツとくろもじの精油を購入してみました! トドマツは、マツの葉のつんとした、しかし、透明感のある、コクのある香りです。くろもじは、なんと! 甘く感じました。マツのようなつんとした感じはなく、温かみがある香りです。
購入したトドマツ精油とくろもじの精油
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参照文献
- 大平辰朗 「樹木精油成分による空気質の改善」木材学会 Vol. 61, No. 3, p.226-231 (2015)
- 国立環境環境研究所 症状を悪化させるもの (1) 花粉症
- 日本の森林率は世界2位なのになぜ国産材を使わないのか
- ざっそう屋
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